ロンバルディアの鉄王冠

ロンバルディアの鉄王冠(伊:Corona Ferrea, 英:The Iron Crown of Lombardy)は聖遺物であるとともにヨーロッパで最も古い王冠の1つである。現在はロンバルディア州の首都ミラノに近いモンツァ大聖堂に保管されている。コローナ・フェッラーラとも。

作成伝説

モンツァ大聖堂に保管されているロンバルディアの鉄王冠

鉄王冠は、キリストの磔に使用された釘(聖釘)を叩き伸ばして1cm程度の細い帯状にしたと伝えられている輪を内側に貼り付けているため、この名前で呼ばれている。伝説によれば、その釘はキリストの十字架(聖十字架)を発見した聖ヘレナが息子のコンスタンティヌス大帝に与えたものである。

それが、なぜ北イタリアゲルマン民族系の征服者であるランゴバルドの王の手に入ったのかは不明であるが、ランゴバルドの女王のテオドリンダが発見に関与したといわれている。王冠はランゴバルド王国と中世のイタリア王国の象徴の1つと成った。

王冠の外側の帯部分は黄金を打ち延ばして琺瑯引きした6つの黄金片が蝶番で接続されており、十字架と花の浮き彫りの中に宝石があしらわれている

その小さなサイズや蝶番で接続されていることから、元々は大きな腕輪か保管していたモンツァ大聖堂に聖遺物として寄付された奉納冠だったと推測されている。おそらく王冠のサイズが小さいのは、歴史文献によると2つの黄金片が失われており、その後に再接続されたためである。

中世以降

モンツァ大聖堂

9世紀から19世紀において、イタリア王は同時に神聖ローマ皇帝であり、多くの皇帝はイタリア王国の首都だったバヴィアで鉄王冠を使用した。カール大帝オットー大帝ハインリヒ4世フリードリヒ1世バルバロッサなどの有名な皇帝も鉄王冠で戴冠している。

1805年5月26日、ナポレオン・ボナパルトがミラノで自らの手により戴冠した時も通常の王冠で儀式を行った後、鉄王冠を使用してランゴバルド王国の儀式に従った宣誓を行った。その際の1805年6月15日にナポレオンは鉄王冠勲章を創設している。

ナポレオンが没落し、オーストリアがロンバルディアを併合した後は、1816年1月1日にオーストリア皇帝フランツ1世が鉄王冠勲章を再び創設した。また、1838年9月6日にフェルディナント1世がミラノでロンバルディアとベネチアの王として鉄王冠を使って戴冠している。

1859年のオーストリアとイタリア間の戦争でオーストリアがロンバルディアから退却した後、鉄王冠はベネチアに移され、第3次イタリア独立戦争の後の1866年にベネチアがイタリアに返還されるまで、ベネチアに保管されていた。

文学作品

メルヴィル白鯨の37章で、エブラハム船長は鉄王冠で戴冠する幻想を見ている。

アーカイブ

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