冬のライオン
冬のライオン(The Lion in Winter)は、1966年から上演されたブロードウェイの演劇で、1968年にハリウッドで映画化された。1183年クリスマスのシノン城を舞台に、中世のイングランド国王ヘンリー2世と王妃エレアノール、3人の息子及びフランス王を絡めた権力や家族関係を巡る愛憎を描いている。
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史劇
登場人物は全て歴史上の実在の人物であり、背景も史実に基づいている。しかし、登場人物の性格や彼らに関する逸話は、以下のようなポピュラーカルチャーの時代劇で知られる設定(俗説)が用いられており、史実的には確認されていないものが多い。(しかし、英米ではいずれも有名な話である)
- ヘンリー2世
- 愛しのロザムンドを寵愛し、エレアノールの反乱を招いた。リチャードの婚約者フランス王女アレースとも愛人関係に有る。
- エレアノール
- かっては、多くの愛人を持ち、叔父のアンティオキア公レイモンやヘンリー2世の父ジョフロワとも関係した。ヘンリー2世とロザムンドとの関係に怒り、息子達と共に反乱を起こしたが、捕らえられて幽閉されている。
- リチャード(リチャード1世)
- 男色家で、過去にフランス王フィリップ2世とも関係を持った。勇猛な騎士だがマザコンで母エレアノールには愛憎両方を感じている。
- ジェフリー(ブルターニュ公)
- 冷酷な打算家だが、密かに両親の愛情が無いことに不満を抱いている。
- ジョン
- 末っ子の甘えん坊の馬鹿として描かれている。父親の愛情を一身に受け、妙に欲とプライドは高い。
- フィリップ2世(フランス王)
- かってリチャードに犯され心の傷を負ったが、冷静で権謀術策の君主となっている。現在ではジェフリーと関係をもつ。
- アレース(フランス王女)
- フィリップの異母姉で、リチャードの婚約者としてプランタジネット家に来たが、男色家のリチャードに相手にされずヘンリー2世の愛人となる。
また、1183年のクリスマスに一族が集まったという史実は無く、前年の1182年のクリスマスにノルマンディのカンに一族が集まった史実を元に創作されたものである。
プロット
1183年のクリスマスにイングランド国王ヘンリー2世は、反乱の絶えない家族やフランス王との領土を巡る争いを解決するために、幽閉中の王妃エレアノール、息子のリチャード、ジェフリー、フランス王フィリップ2世を呼び集めた。これに、末子のジョンとリチャードの婚約者だがヘンリー2世の愛人となっているフランス王女アレースがからんで、権力、領土、愛情を巡る様々な駆け引きが行われるが、息子達の裏切りに絶望したヘンリーは、息子達を幽閉し、エレアノールと正式に離婚してアレースと結婚しようとする。
キャスト
- ヘンリー2世: ピーター・オトゥール
- リチャード: アンソニー・ホプキンス
- ジェフリー: ティモシー・ダルトン
- エレアノール: キャサリン・ヘプバーン
スタッフ
- 監督: アンソニー・ハーヴェイ
- 音楽: ジョン・バリー
- 撮影: ダグラス・スローカム
アカデミー賞(1968年)
- 作品賞 (ノミネート)
- 主演男優賞(ノミネート): ピーター・オトゥール
- 主演女優賞: キャサリン・ヘプバーン
- 監督賞 (ノミネート): アンソニー・ハーヴェイ
- 作曲賞 : ジョン・バリー
- 衣装デザイン賞(ノミネート)