モット・アンド・ベーリー
モット・アンド・ベーリー(Motte-and-bailey)とは、ヨーロッパにおける築城形式の1種で、10〜12世紀のフランス、イギリスで多く建築された。
モットは小山で、ベーリーは外壁を意味し、平地や丘陵地域の周辺の土を掘りだして、堀(空堀が多かった)を形成し、その土で小山と岡を盛り上げた。小山は粘土で固めてその頂上に木造または石造の塔(天守)を作り、岡を木造の屏で囲んで、貯蔵所、住居などの城の施設を作るものである。
モット・アンド・ベーリー型の城は手早く建築できるのが特徴で、8日間で作り上げたという記録も有る。このため、ノルマン征服後にウィリアム1世やノルマン貴族がイングランドやウェールズ、スコットランド境界に数多く築城した。
また、フランスにおいては王権が弱かったため、各地の弱小領主が競って自領に建築した。
現在でもイギリスでは、モットの跡である小山を各所で見ることができる。